マニュアル屋の随想
使われるマニュアル
恐縮です。マニュアル屋でございます。
技術継承をできる限り早期に、その会社らしく進めて
立派な後進の方が育ち続ける仕組みを、
苦労して制作して、その仕組みを体現するモノとして、
皆様と苦労して1冊のマニュアル、言うなれば
その会社様にとっての「バイブル」ともいえるべき
1冊を作り込んでいきます。
制作に関わる方と共に苦労を重ねて、1冊のマニュアルを
作成いたします。
当社のマニュアルの定義は
師匠である株式会社クオーレの工藤先生が掲げる
(1)企業の理念(方針・姿勢)を基に
(2)目標・期待を明確にして
(3)考え方・判断・行動・評価の基準(根拠)となるもの
と掲げています。
このうち、(1)と(2)が無いマニュアルは「機械的」な作業を
求められるような、辛いものとなるような気がします。
そして、(3)はマニュアルを制作する目的を達成することのできる
力であると考えることができるでしょう。
何かしらの目的や意図があって
「マニュアルを作る」という手段を選んでいる以上、
この(3)が示されていない状態はありえないでしょう。
ところが、ときにマニュアルはややもすれば「作る」ことに
比重が置かれてしまうものです。
数週間もすれば、せっかく作ったマニュアルの方が
消えていくか、仕舞われるかしていくことが多いようです。
引き出しの奥や棚にしまわれたまま、
大掃除の時に出てきて、作ったときの苦労をも
忘れてしまっている現場リーダーもいらっしゃいます。
このような状態のマニュアルは、
作成した目的を達成し、成果を出すことは不可能でしょう。
また、きちんとラミネート加工されて機械に貼り付けられていても
「見慣れた風景」となってしまい、殆ど効力を発揮していない
作業要領書なども見受けられます。
元々、制作時にこのような状態を想定していたでしょうか。
しかしながら、現在のマニュアルの作成をめぐる
ノウハウの多くは「書き方」「作り方」に終始しており、
最近では「動画」や「ビジュアル」をふんだんに使った
アプリやシステムのようなものも「美麗」なマニュアルとして
台頭している向きもあります。
このようなツールやノウハウのアイデアは将来に向けて、
ますます多くなり、マニュアルの新たな在り方であることは
否定いたしません。制作の効率化にもつながり、大変結構な
ツールだと思います。
ただ、結局使われなければ、無用の長物だということです。
では、マニュアルはどのようにすれば使われるのでしょうか。
また、どのようにマニュアルを使えばいいのでしょうか。
こうしたマニュアルの活用の方法についても
デザインしながら制作することで、上記のマニュアルの定義
(3)は少なくとも担保されるものと考えます。
ただ、活用するための「考え方」を現場並びに監督者が
理解しておく必要があります。
マニュアルを作って満足ではなく
使ってなるほどという状態を現場が体験を重ねる
必要があるといえます。
恐縮です。マニュアル屋でした。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。