マニュアル屋の随想

心安らかに仕事ができるか

芸は身を助ける、といいます。
 
 
さて、
 
 
私が知り合った中小企業診断士さんからお聞きした話でございます。その診断士さんには、彼が提供している役務について、その役務をお客様にとっての価値を明確にするお手伝いをしてくださる方がいらっしゃいます。
 
 
その方が診断士さんに仰ったそうです。
「受注欲しさにできないことを引き受けられる方もいます。しかし、いざできないことを引き受けてしまうと、心安らかに仕事をすることが難しくなります。」
 
続けて、
「仕事で成果を出すためには、私は心安らかにいられることに重きを置きます。そのためには、常に自分にできることを握っておくことが重要です。」
 
 
診断士さんは
「私の場合でしたら、補助金の申請書は私が書く以上、確実に出来上がるから安心だという感覚ですね。」と答えたそうです。
 
 
このやりとりを受けて、診断士さんが考えられたことは、仕事の結果として出来上がる成果物が完成するか否かをそもそも心配するようでは、お客様に直面して心安らかに関わることが非常に難しくなるのだろう、ということらしいです。
 
 
彼が引き受ける以上、お客様の補助金申請は完遂できるに決まっています。その点において、不安がなく心安らかにお客様と関わることができますので、お客様のために価値を生み出せるとのことです。
 
 
一方で彼も、中小企業診断士の看板を上げて商売をしていると、得意分野以外のお問合せを受けることも多々あります。そこで、「できるか?」と躊躇しながら仕事として請けてしまうと、請けた後に困ることになるでしょう。
 
 
この場合、彼が元請となり(あるいは下請けとなり)外注やパートナーとタッグを組んで受注する方法も考えられるでしょう。ただやはり、自身ができないことを抱えての仕事はそうでない場合に比べて、不安は避けられないでしょう。
 
 
お客様の打診や引合が来た時に、躊躇なくできないことはできない、知らないことは知らないと言い切るためには、自身の「できる」分野を把握すると共に、その分野で成功を収めている必要があるでしょう。
 
 
彼が自身にできることで、お客様のお役に立ち、価値を高められるようになっていく様子を静かに見守りたいと思います。
 
 
合掌

TIME2019.09.22  考え方,雑感

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