マニュアル屋の随想

仕事は元請だけで成立するのか

兄という概念は、弟か妹がいて初めて成立します。
 
 
さて、
 
 
とある一宮の中小企業診断士さんからお聞きした話でございます。彼には、彼ならではのビジネスを確立するお手伝いを
してくださる方がいらっしゃいます。
 
 
診断士の彼はその方に元請になるべく営業活動で成果を上げることが課題だ、と話したそうです。
 
 
するとその方は、
「下請仕事しかできないとお悩みの様ですが、下請はマズイというのは本当でしょうか?」
 
「私はそのように思います」
 
「しかし、下請の仕事で売上を確保していますよね。その悩みを持つ意味はあるのでしょうか?」
 
 
彼は、その方との会話から「下請」という言葉の良くないイメージに捉われてしまい、下請の側だけで物事を考えてしまっていたことに気付いたそうです。
 
 
同じく「元請」という言葉は「元請」という概念だけでは扱えません。必ず「下請」という概念と対になっています。

 
元請がいなければ仕事は来ないでしょう。しかし、下請がいなければ業務は完遂しないでしょう。
 
 
この認識がない元請にも、この認識がない下請にも相手との信頼は築けないでしょうし、信頼関係がないのであれば、仕事の成果などたかが知れたものになるのではないでしょうか。
 
 
こうした役割の差を認識しないままに、漠然と元請は格上、下請は格下などという見方に陥てしまえば、関係の本質を見失ってしまうことになるでしょう。
 
 
彼が元請・下請の概念に左右されず、『求められている価値』を、『求めてくださる方』に提供できるようになっていく様子を静かに見守りたいと思います。
 
 
合掌

TIME2019.09.18  雑感

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