マニュアル屋の随想

ルールを尊重せよ

気分で道路を逆走すれば命に係わるでしょう。
 
 
さて、
  
 
ある中小企業診断士の方のお話でございます。彼には、彼の人としての軸を見つけ出すお手伝いをしてくださる方がいらっしゃるそうです。
 
 
その方が、ある人の軸を明確化する時に用いる手法がありまして、厳格なルールの下で運用することで、高い精度で軸を明確化するできるとのことです。
 
 
中小企業診断士の彼もその手法を行い、1回目は何とかそれなりに良い結果を残すことができたそうです。しかし、2回目はどうもうまくいっていなかったようです。
 

彼に対して、その方はこのように助言されたそうです。
「ルールは意味があってルールとなっています。世の中ではそのように厳密なルールは多くはないようですが、このルールは意味があって厳密なものになっています。知ったつもりになって自己流でやれば求める成果は手に入るべくもありません。ルールを尊重しておやりなさい」
 
 
なるほど、1回目は厳格にルールを確かめながら、じっくりと時間をかけてやろうとしたが、上手くいったと思うて、ルールの確認が激減して、知らず知らずに自己流が入ってしまったようです。
 
 
彼は、ルールを守る必要があることを認識しつつも、結果はルールを守らない行動になってしまっていた。これは彼が主観的に、守る必要があるルールと守る必要がないルールとを区別していたからではないだろうか。そのように考えたそうです。
 
 
彼にとって、「守る必要があるルール」と、「守る必要がないルール」が存在するのだとしたら、その線引きを彼はどのようにしているのでしょうか。
 
 
そもそも、ルール化されているものには、目的や根拠が存在する筈です。漠然とルール化されていることはありますまい。仮に、漠然とルール化されていたとしたら、再現性や合意が不十分となり、改善や調整が入り的確性を保つか、形骸化しているでしょう。
 
 
ルール化された目的や根拠も十分に知った上で、ルール通りに徹底したルールを熟知した状態があって、初めてその線引きは可能になるのでしょう。
 
 
しかしながら、その道程で上手くいき慣れていくほどに、ルールを知った気になって、ついつい自己流に陥るケースは意外に多くあるのではないでしょうか。
 
 
ただし、ルールは合目的性のある運用がされているか確認は必要でしょう。必ずしも守る必要がある状況だけではない筈です。ある前提条件の下では「守る必要のあるルール」も、前提条件が変化すれば「守る必要のないルール」になることも往々にあるでしょう。
 
 
ただ、いずれにしてもルールを熟知している必要はあり、そうでなければ「守る必要のあるルール」と「守る必要のないルール」の判別などできないでしょう。
 
 
彼が、自身を取り巻くルールの熟知を目指しつつ、彼にとって守る必要のあるルールを徹底できるようになっていく様子を静かに見守りたいと思います。
 
 
合掌

TIME2019.09.28  考え方,雑感

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