マニュアル屋の随想

続続・もの補助獲得ストーリー

恐縮です。
 
 
工場の設備投資を後押しする「ものづくり補助金」は中小中堅企業様にとって大きなアドバンテージを運んできてくれる存在だと思います。
 
 
そこで、このブログの場では、長年に渡り蓄積した私の頭の中にある岐阜尾張における「ものづくり補助金」の考え方を備忘しようと思います。
 
 
私自身の備忘ながら、何かしら、あなたのお役に立てることがあれば、私も嬉しく思うのでございます。
 
 
さて、
 
 
今回も前回の続きになります。私が工場のもの補助申請をご支援させていただくときには、下記の8ステップで
ストーリーを構成しています。
 
 
【もの補助獲得ストーリー】
(1)自社は誰が何をどのような想いで作っている工場であるのか。
(2)自社の強みは何か?
(3)お客様から、ある要望をされているが現状では対応が極めて困難である。
(4)しかし、困難であるが故に商機でもあり、対応できるようにしたい。
(5)対応する上で、現状は技術面に課題がある。
(6)その解決のために設備投資が不可欠だ。
(7)強みを活かした新設備の使い方により、強みがさらに強くなる(革新性の創出)
(8)お客様の要望に対応して新たな事業が立ち上がる。
 
 
ストーリーは、御社の業界や技術に必ずしも精通している訳ではない専門家の方に、ためらいなく「合格!」と言ってもらえる分かりやすさを生み出すために有用です。
 
 
では、前回までで(4)について書きました。
 
 
今回は(5)~(7)について書きます。ここはもの補助のストーリーにおいて最も重要で思案を要する部分になります。
  
 
 
 
(5)対応する上で、現状は技術面に課題がある。
 
単に「課題」ではなく、「技術的な課題」です。
 
 
ここでは、機械設備に投資する必要性に関する記載をする、という意味で「技術的な課題」が求められています。
 
 
なので、「売上の減少」や「定着率が低い」、「借入依存度が高い」みたいな内容は直接は記載しない方がいいでしょう。
 
 
実際にこのような状況があれば、例えば売上の減少は、「技術的にどのような問題があるか」を問うてみて、
 
「切削の精度が限界」だったり、「放電加工のカス詰まりが起きる」だったり、「射出成型機の温度が微妙に不安定」だったりして、
新規の受注に対応できないことから、売上の減少が起きている。
 
 
という書き方になるでしょうか。
 
 
定着率が低いも、「姿勢が悪い状態での作業」や「技術者が老齢で勇退するも若者に技術が継承できない」みたいな事情かも知れません。
 
 
課題は、あくまでも「技術面の課題」として記載します。
 
 
 
 

 
(6)その解決のため設備投資が不可欠だ
 
導入予定の機械は何でしょうか?どのような特性を持っているのでしょうか?
 
 
カタログを見ながら、スペックを検討しながら、導入設備のどの仕様が(5)の「技術的な課題」の解決に役立つのかを考えます。
 
 
で、今の課題を解決する上でこの機械が必要不可欠であるという理屈を考えます。
 
 
逆に言えば、機械が無ければ課題解決はあり得ない。
  

というところまで掘り下げることができればバッチリだということになるでしょう。
 
 
ただ、先に書きました通り「古い機械(壊れた機械)を入れ替える」みたいな記載は精査しましょう。
 
 

 

(7)強みを活かした新設備の使い方により、強みがさらに強くなる(革新性の創出)
 
(6)の機械設備をただ導入するだけでは、他社が容易にマネできてしまうかもしれません。
 
 

【もの補助獲得ストーリー】の(2)で、「強み」の要素を上げましたが、その第3番である、「御社の「違い」に気が付いた競合が容易にマネできない」にリンクしますが、
 
 
カタログに記載されている機械を導入される場合、同じ仕様の機械を競合が導入したら御社の強みは消えるのか?
 
 
マネできてしまうのではないか?
 
と審査員が疑問を抱くのを先回りして、「いやー、強みのあるウチが独自の治具を作ってプログラム組んで切削するからできるんですよ。他社ではできまいて。」
というテイストでストーリーを作ります。
 
 
そこで、私が最も重要視する考え方は、「機械装置に御社の強みを組み込むこと」です。
 
 
大事なことなのでもう一度書きます。
 
 
「機械装置に御社の強みを組み込むこと」です。
 
 
「トヨタ生産方式」の開祖であられるトヨタ自動車の大野耐一氏は、「改善」は知恵を使って職場を良くするもの、「改良」はお金を使って職場をよくするものではないか。
と仰っています。
 
 
この「改良」を主軸として、御社が積み重ねてきた「改善」の実績を巻きつける感じでしょうかね。
 
 
このあたりは、私がもの補助申請をご支援させていただく際には最も重要視する考え方ですので、どこかでじっくりと書きたいと思います。
 
 
長いですね。ついつい力が入ってしまいました。
 
 
次回は最終の(8)について記載します。
  
 
最後までお読みいただきありがとうございます。
当ブログは私自身の備忘に過ぎませんが、あなたにとって何かしらお役に立てていれば幸いです。
 
 
あなたと次もご縁がありますことをお祈り申し上げます。

TIME2019.12.05  もの補助獲得ストーリー

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