マニュアル屋の随想

テンプレートの功罪

人は見た目が9割だそうです。
 
 
さて、
 
 
ある中小企業診断士の方のお話でございます。この診断士さんには、彼のビジネスにおけるお客様にとっての価値を明確にするお手伝いをしてくださる方がいらっしゃいます。
 
 
彼が作ったというチラシを前にして、2人で話し合っていたそうです。この話し合いの中で、その方は、
 
「このチラシは何のために作ったのですか?」
 
「集・・・客・・・ですが?」
 
「お客様はどなたで、何のためにPRしたかったのですか?」
 
「・・・」
 
彼は即答できなかったそうです。
 
 
この一件を掘り下げて考えると、彼はチラシ作成については、ほぼ初挑戦だそうです。そこで、テンプレートや枠組みのアイデアをいただいて作成したのだそうです。
 
 
なるほど、ここにFAXの返信フォームを付けて、ここにキャッチコピーや日時を入れるのだな・・・
 
そして、構文はこれに当てはめて・・・ほうほう・・・・。
 
後はこの文章を「は」から「の」に変えて・・・と。
 
この変な改行を整えて・・・。
 
 
制作過程はこのような感じだったそうです。
 
 
どうやら、彼はテンプレートを得たことでこのテンプレート通りにレイアウトを整えて、キレイなチラシを制作することに集中していたのかも知れません。
 
 
結果として、誰にも響かない・伝わらない・いいねと思って貰えない、すなわち「中身のない」チラシになってしまったそうです。
 
 
この時、テンプレートを前にして彼が思うたのは「これに当てはめれば効率的に素晴らしいチラシができる」だったそうです。 

 
何のために、誰に何をどのように・・・伝えるのか、これを念頭に置きつつ、ゼロベースで考えるという前提があって初めてテンプレートというのは役に立つのでしょう。
 

今後、テンプレートを「ゼロベースで自分で考える前提で」使うものであると意識することで、徐々に成果につながっていくかも知れません。
 
 
ところが今もまだ、頭で分かっていても、テンプレートを見るとこのような思考が脳を占めるのだそうです。この思考のクセを切り替えるのは容易ではないかも知れません。
 
 
彼が、目的意識を明確にして、テンプレートをゼロベースで考えるという前提で活用し、見た目だけでなく、中身も伴い、お客様に価値を提供できるようになっていく様子を静かに見守りたいと思います。
 
 
合掌

TIME2019.10.30  雑感,マニュアル作成

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